「死のロングウォーク」
2002年12月6日■(読了)「死のロングウォーク」スティーブン・キング(リチャード・バックマン)、扶桑社文庫
近未来のアメリカで、年1度、14〜16歳の青年が100人集められ、時速4マイル以上でただひたすら南へ向かって歩き続ける、というゲームが行われている。速度が落ちたり、道から逸れたりしたら警告を受け、3回溜まると次は射殺される。最後に残った一人の優勝者には、なんでも望みが叶えられる。
高見広春が「バトル・ロワイヤル」を書くのに影響を受けた、というキングの処女作を読んでみた。
ただただ歩いているだけの話。時代背景とか、彼らが歩き出す理由とかがまったく説明なくゲームが始まってしまうので、とにかくそれを知りたいためにどんどんページをめくってしまうんですが、次第に、極限状態に置かれた登場人物たちの心理描写に引き込まれていきます。
この本のあとがきではじめて「カウント・ダウンもの」というジャンルわけを知りましたが、一人ずつ、消されていくサスペンス、としてシンプルなゆえにおもしろい話でした。
(でも、「バトロワ」のほうが衝撃的だったかな。「殺し合う」という手法も、ラストも)
近未来のアメリカで、年1度、14〜16歳の青年が100人集められ、時速4マイル以上でただひたすら南へ向かって歩き続ける、というゲームが行われている。速度が落ちたり、道から逸れたりしたら警告を受け、3回溜まると次は射殺される。最後に残った一人の優勝者には、なんでも望みが叶えられる。
高見広春が「バトル・ロワイヤル」を書くのに影響を受けた、というキングの処女作を読んでみた。
ただただ歩いているだけの話。時代背景とか、彼らが歩き出す理由とかがまったく説明なくゲームが始まってしまうので、とにかくそれを知りたいためにどんどんページをめくってしまうんですが、次第に、極限状態に置かれた登場人物たちの心理描写に引き込まれていきます。
この本のあとがきではじめて「カウント・ダウンもの」というジャンルわけを知りましたが、一人ずつ、消されていくサスペンス、としてシンプルなゆえにおもしろい話でした。
(でも、「バトロワ」のほうが衝撃的だったかな。「殺し合う」という手法も、ラストも)
11月月間集計
2002年12月5日11月に読んだ本:計6冊(マンガ除く)
【小説・一般】
ミステリ1冊
エッセイ・ドキュメント3冊
学術1冊
【ライトノベル】
BL1冊
【マンガ】
マンガ4冊
カテゴリを変えてみた。やっぱり、学術関係と軽い読み物エッセイが同じ範疇ではいろいろとモンダイあろうかと思い。ってどんなモンダイが?!
【小説・一般】
ミステリ1冊
エッセイ・ドキュメント3冊
学術1冊
【ライトノベル】
BL1冊
【マンガ】
マンガ4冊
カテゴリを変えてみた。やっぱり、学術関係と軽い読み物エッセイが同じ範疇ではいろいろとモンダイあろうかと思い。ってどんなモンダイが?!
コメントをみる |

「楽園30000フィート」「アーシアン」
2002年11月28日■(読了)「楽園30000フィート」東谷珪、マガジン・マガジン、2002
全日本航空(All Nippon Air Line:通称ANAL)という架空の航空会社(社長以下社員は全員♂かつホモ)を舞台にしたギャグ連作。
このマンガ家については、以前も「イジワルな神様」という、イヌが飼い主に懸想するホモギャグ(……いや、シリアスか?)の感想を書きましたが、本当に着想が個性的でステキです。絵がちょっとヘタレ系なところもまたよし。
■(読了)「アーシアン別巻・秘密の花園」「アーシアン完全版・第3巻」高河ゆん、新書館、2002
よよよ、ようやく読めましたアーシアンのラスト! 何年待ちつづけたんだろうな、いったい……(遠い目)。
やっぱり、「神様が見てる……」から脱獄するまでが最高でしょう。欲を言えば、そこからちはやと影艶が再会するまでを、延々延々と焦らしつづけてくれれば、もうタイヘンなことになったんでしょうけれど。
でも、焦らされつづけた挙句に10年以上放っておかれるよりは、終わってくれただけよかったのかな。なんにせよ、時代を象徴するマンガでした。(「源氏」よりこっちの方が好きだったな)
全日本航空(All Nippon Air Line:通称ANAL)という架空の航空会社(社長以下社員は全員♂かつホモ)を舞台にしたギャグ連作。
このマンガ家については、以前も「イジワルな神様」という、イヌが飼い主に懸想するホモギャグ(……いや、シリアスか?)の感想を書きましたが、本当に着想が個性的でステキです。絵がちょっとヘタレ系なところもまたよし。
■(読了)「アーシアン別巻・秘密の花園」「アーシアン完全版・第3巻」高河ゆん、新書館、2002
よよよ、ようやく読めましたアーシアンのラスト! 何年待ちつづけたんだろうな、いったい……(遠い目)。
やっぱり、「神様が見てる……」から脱獄するまでが最高でしょう。欲を言えば、そこからちはやと影艶が再会するまでを、延々延々と焦らしつづけてくれれば、もうタイヘンなことになったんでしょうけれど。
でも、焦らされつづけた挙句に10年以上放っておかれるよりは、終わってくれただけよかったのかな。なんにせよ、時代を象徴するマンガでした。(「源氏」よりこっちの方が好きだったな)
「ひとりで生きるモン!」
2002年11月26日■(読了)「ひとりで生きるモン!」西炯子、徳間書店、2002
小学館パレット文庫に挟んであるしおりに連載されている4コママンガをまとめたもの。
一本一本が、それだけで読まれることを前提に描かれた4コマなので、めちゃくちゃ濃いぃです。本自体はけっこう軽くてページ数もそう多くないのに、含蓄のあるせりふが多くて、読んでいて大変疲れます。
それにしても西炯子、そんなにエロが好きなのか……。
ちなみに、書店で買おうかどうしようか迷って、いったんマンガ売り場を離れようとしたものの、「やっぱり買おう〜」と思って振り向いたら、そこには30代のちょっと疲れたサラリーマンな男性が立っていて、迷わずこの本を手にとってレジへ向かった。
西炯子って、ホモ・テイスト系の女の子向けマンガ家だと思っていたので、けっこう驚いた。
小学館パレット文庫に挟んであるしおりに連載されている4コママンガをまとめたもの。
一本一本が、それだけで読まれることを前提に描かれた4コマなので、めちゃくちゃ濃いぃです。本自体はけっこう軽くてページ数もそう多くないのに、含蓄のあるせりふが多くて、読んでいて大変疲れます。
それにしても西炯子、そんなにエロが好きなのか……。
ちなみに、書店で買おうかどうしようか迷って、いったんマンガ売り場を離れようとしたものの、「やっぱり買おう〜」と思って振り向いたら、そこには30代のちょっと疲れたサラリーマンな男性が立っていて、迷わずこの本を手にとってレジへ向かった。
西炯子って、ホモ・テイスト系の女の子向けマンガ家だと思っていたので、けっこう驚いた。
「殺ったのはおまえだ!」
2002年11月21日■(読了)「殺ったのはおまえだ―修羅となりし者たち、宿命の9事件」新潮45編集部、新潮文庫、2002
最近話題になった事件9件についての、新潮45に載ったルポルタージュの再録。
最近の事件は、「貧しいから」奪ったり殺したりするのではなく、理由がわからないから恐ろしい、という言い方をよく聞くけれど、この本を読むと「やっぱり経済的に不自由な人が犯罪に走るんでは?」と思わずにいられない。
っていうか、日本は不況だといっても餓死はしない程度に豊かな国だと思っていたけれど、これほど、貧しい人がやっぱりいるんだな、とちょっとびっくりした。
結局、学歴って再生産されるから、一度貧乏に落ち込んじゃうと、そこから這い上がるのは本当にむずかしいんだろうな、とか。
この本を手に取ったのは、Yondaパンダのマグカップが欲しかったから。どれを読みたい、というのはなかったんですが、平積みされてた新潮文庫をぱらぱらと眺めていたら、「植物人間になった双子の兄を刺殺した17歳少年」の話もあったので購入。
まともそうだと思ったのはこの人だけだったよ、9件の事件の犯人のなかでは。(そして、この人が執行猶予なしの実刑を受けていたことは知らなかった……)
犯罪を犯す人は、やっぱり日ごろから言動が特異なのか、ライターが、だれでもやっていそうな奇矯な言動を、ことさらに掘り出してみせるからか。
いろいろ考えてしまいました。
最近話題になった事件9件についての、新潮45に載ったルポルタージュの再録。
最近の事件は、「貧しいから」奪ったり殺したりするのではなく、理由がわからないから恐ろしい、という言い方をよく聞くけれど、この本を読むと「やっぱり経済的に不自由な人が犯罪に走るんでは?」と思わずにいられない。
っていうか、日本は不況だといっても餓死はしない程度に豊かな国だと思っていたけれど、これほど、貧しい人がやっぱりいるんだな、とちょっとびっくりした。
結局、学歴って再生産されるから、一度貧乏に落ち込んじゃうと、そこから這い上がるのは本当にむずかしいんだろうな、とか。
この本を手に取ったのは、Yondaパンダのマグカップが欲しかったから。どれを読みたい、というのはなかったんですが、平積みされてた新潮文庫をぱらぱらと眺めていたら、「植物人間になった双子の兄を刺殺した17歳少年」の話もあったので購入。
まともそうだと思ったのはこの人だけだったよ、9件の事件の犯人のなかでは。(そして、この人が執行猶予なしの実刑を受けていたことは知らなかった……)
犯罪を犯す人は、やっぱり日ごろから言動が特異なのか、ライターが、だれでもやっていそうな奇矯な言動を、ことさらに掘り出してみせるからか。
いろいろ考えてしまいました。
「それはなにかとたずねたら」
2002年11月19日■(読了)「それはなにかとたずねたら」榊花月、花丸文庫(白泉社)、2002
親元からゆえあって飛び出し、一人暮らしでバイト三昧の主人公が、清掃のバイト先の風俗事業経営者に愛人契約を結ばされる。
BLにありがちな設定で、ありがちに進み、結局「お互い初めから好きだったんじゃないか!」で終わるありがちな話。
それでもこの話をきわだって特徴付けているのは、この、にゃんともわかりにくい文体というか表現方法というか。つまり、作者は登場人物の細かい心情を、説明してはくれない。会話は回りくどい割に肝心なことは言わない人たちの、言葉の端々や態度などから読み取る感情は、ありがちなBLよりも一段深い。
なんというか、近ごろ流行のエロ系純文学を読んでいるような気になった。
親元からゆえあって飛び出し、一人暮らしでバイト三昧の主人公が、清掃のバイト先の風俗事業経営者に愛人契約を結ばされる。
BLにありがちな設定で、ありがちに進み、結局「お互い初めから好きだったんじゃないか!」で終わるありがちな話。
それでもこの話をきわだって特徴付けているのは、この、にゃんともわかりにくい文体というか表現方法というか。つまり、作者は登場人物の細かい心情を、説明してはくれない。会話は回りくどい割に肝心なことは言わない人たちの、言葉の端々や態度などから読み取る感情は、ありがちなBLよりも一段深い。
なんというか、近ごろ流行のエロ系純文学を読んでいるような気になった。
「犬の心の相談室」
2002年11月17日■(読了)「犬の心の相談室」利岡裕子、主婦の友社、1997
犬の問題行動の理由と、対処法を説明してくれる。
結局、犬という異文化コミュニケーションには、自分の常識でなく、相手の常識を理解してあげることが必要だよな、と思う。これって、子育てにも似てないか? 赤ん坊という、言葉の通じない相手の「常識」を理解して、人間社会で共存できるように躾ていくことが、結局は相手の幸せにもなり、自分の幸せにもなる、ということ。
語り口がやさしく、読みやすいと思ったら、「まんが日本昔ばなし」の脚本助手を務めていた方だそうだ。
犬の問題行動の理由と、対処法を説明してくれる。
結局、犬という異文化コミュニケーションには、自分の常識でなく、相手の常識を理解してあげることが必要だよな、と思う。これって、子育てにも似てないか? 赤ん坊という、言葉の通じない相手の「常識」を理解して、人間社会で共存できるように躾ていくことが、結局は相手の幸せにもなり、自分の幸せにもなる、ということ。
語り口がやさしく、読みやすいと思ったら、「まんが日本昔ばなし」の脚本助手を務めていた方だそうだ。
「『郊外』と現代社会」
2002年11月16日■(読了)「『郊外』と現代社会」若林幹夫ほか、青弓社、2000
1999年に、多摩ニュータウンにある文化施設「パルテノン多摩」にて行われた、5人の識者による連続講演の記録。
講演者はいかのとおり。
若林幹夫:社会学・都市論・メディア論専攻の筑波大学助教授。
三浦展:消費文化論・都市文化論専門のマーケティング・リサーチャー。
山田昌弘:家族社会学・感情社会学専攻の助教授。
小田光雄:文芸評論家。
内田隆三:現代社会論・社会理論専攻の教授。
一般の人向けの講演なので、内容はわかりやすく、とてもおもしろかった。
とくに、山田昌弘は、具体的な数字と先入観を突き崩すような読み解きで、たいへんおもしろかった。このひと、「パラサイト・シングル」という言葉の生みの親だそうです。
そしてここにも三浦展。先々月、この人の本を読み、先月、この人をコテンパンに悪し様に言った人の本を読み、そして今月またこの人の本……。因縁めいています(笑)。
1999年に、多摩ニュータウンにある文化施設「パルテノン多摩」にて行われた、5人の識者による連続講演の記録。
講演者はいかのとおり。
若林幹夫:社会学・都市論・メディア論専攻の筑波大学助教授。
三浦展:消費文化論・都市文化論専門のマーケティング・リサーチャー。
山田昌弘:家族社会学・感情社会学専攻の助教授。
小田光雄:文芸評論家。
内田隆三:現代社会論・社会理論専攻の教授。
一般の人向けの講演なので、内容はわかりやすく、とてもおもしろかった。
とくに、山田昌弘は、具体的な数字と先入観を突き崩すような読み解きで、たいへんおもしろかった。このひと、「パラサイト・シングル」という言葉の生みの親だそうです。
そしてここにも三浦展。先々月、この人の本を読み、先月、この人をコテンパンに悪し様に言った人の本を読み、そして今月またこの人の本……。因縁めいています(笑)。
「夏時間」
2002年11月12日■(読了)「夏時間」国枝彩香、竹書房(REIJINコミックス)、2002
短編集。シリアスからギャグまで取り揃えた5編。
この人は、BLでありながら売れ線をカンペキ無視したカップルを出してくるからいいよなぁ。シリーズになってた2編のカップルがとっても可愛かったです。
そして。先月書いた、同じマンガ家の「未来の記憶」の感想で、本人がオープンにしている情報かどうか確認せずに、このマンガ家のもうひとつのPNを伏字で書いてしまいまして。後日、ネット上で他の方の書評を読んだところ、その方は慎重に別PNを隠しておられて、コリャ自分の感想も書き換えなきゃと思ってましたが、この本のあとがきにてご本人が、「知ってる人は知ってるから」と、別PNの単行本の宣伝をされていたので一安心。
というわけで、この方には普通のマンガもBLマンガも(同人誌も/汗)たくさん描いてほしいです。
短編集。シリアスからギャグまで取り揃えた5編。
この人は、BLでありながら売れ線をカンペキ無視したカップルを出してくるからいいよなぁ。シリーズになってた2編のカップルがとっても可愛かったです。
そして。先月書いた、同じマンガ家の「未来の記憶」の感想で、本人がオープンにしている情報かどうか確認せずに、このマンガ家のもうひとつのPNを伏字で書いてしまいまして。後日、ネット上で他の方の書評を読んだところ、その方は慎重に別PNを隠しておられて、コリャ自分の感想も書き換えなきゃと思ってましたが、この本のあとがきにてご本人が、「知ってる人は知ってるから」と、別PNの単行本の宣伝をされていたので一安心。
というわけで、この方には普通のマンガもBLマンガも(同人誌も/汗)たくさん描いてほしいです。
「フェイド」
2002年11月11日■(読了)「フェイド」ロバート・コーミア、扶桑社ミステリ文庫
カナダに入植したフランス人の家系に、叔父から甥へと伝わる、消えることができる能力を巡るミステリ。
再読です。アメリカのヤング・アダルト作家の作品。とはいえ、日本のYAを期待して読むとステキに期待はずれ。これはもう、普通のミステリでしょう。
前に読んだのはもう10年近く前になるのかしら。心の底から読後感の悪い話で、でも大変面白い。
今回、読み直してもやっぱり読後感は悪いままなのですが(笑)、小説中小説の使い方とか、事実を明らかにしないまま、読み手に想像だけさせて終わらせる方法とか、やっぱりすごい。おもしろい。
カナダに入植したフランス人の家系に、叔父から甥へと伝わる、消えることができる能力を巡るミステリ。
再読です。アメリカのヤング・アダルト作家の作品。とはいえ、日本のYAを期待して読むとステキに期待はずれ。これはもう、普通のミステリでしょう。
前に読んだのはもう10年近く前になるのかしら。心の底から読後感の悪い話で、でも大変面白い。
今回、読み直してもやっぱり読後感は悪いままなのですが(笑)、小説中小説の使い方とか、事実を明らかにしないまま、読み手に想像だけさせて終わらせる方法とか、やっぱりすごい。おもしろい。
コメントをみる |

10月月間集計
2002年11月10日10月に読んだ本:計9冊(マンガ除く)
【小説・一般】
ミステリ3冊
ノンフィクション6冊
【マンガ】
マンガ11冊
集計忘れてました(汗)。
ノンフィクションばかり読みました。といっても、宮台真司からアイルランドへ行きたい!までノンフィクションという分類はいかがなものか。
いまだ月間10冊まで回復しない読書スピード。おそらく年内はこの調子でしょう……。
【小説・一般】
ミステリ3冊
ノンフィクション6冊
【マンガ】
マンガ11冊
集計忘れてました(汗)。
ノンフィクションばかり読みました。といっても、宮台真司からアイルランドへ行きたい!までノンフィクションという分類はいかがなものか。
いまだ月間10冊まで回復しない読書スピード。おそらく年内はこの調子でしょう……。
コメントをみる |

「イギリスの家を1000万円台で建てた!」
2002年11月7日■(読了)「イギリスの家を1000万円台で建てた!」井形慶子、新潮社OH!文庫、2001
インテリア雑誌などの編集をしている著者が、ハウスメーカーでイギリス風の家を造るのに奔走する。
こんなベタなハウツーっぽい本を読むつもりはなかったんですが、今度イギリスに行くことになりまして、イギリス関係のエッセイを読もうと思ったら、この人の(やっぱりベタなタイトルの)本が何冊か見つかりまして、「気になるけど、タイトルがベタだから単行本を買うのは冒険だな〜。文庫も出てるみたいだから、こっちで試してみるか」というんで買ってみた。
結論。おもしろかった。
もともと家を建てる本は好きなんですが、この著者の趣味の「イギリス風の古い家」っていうのは、実はあんまり好みでない。でも、自分の趣味をしっかり持っていて、夢の家を実現させるために奔走し、ハウスメーカーの営業や現場監督に自分の意見を伝えて、なんとかようやく満足のいく家を建てた、というエネルギーには脱帽です。
わたしも、もし将来家を建てることになったら、ここまでこだわって自分らしい家を建てたいな、と夢が広がった次第。
というわけで、引き続いてこの著者の他の本も読んでみるつもり。
インテリア雑誌などの編集をしている著者が、ハウスメーカーでイギリス風の家を造るのに奔走する。
こんなベタなハウツーっぽい本を読むつもりはなかったんですが、今度イギリスに行くことになりまして、イギリス関係のエッセイを読もうと思ったら、この人の(やっぱりベタなタイトルの)本が何冊か見つかりまして、「気になるけど、タイトルがベタだから単行本を買うのは冒険だな〜。文庫も出てるみたいだから、こっちで試してみるか」というんで買ってみた。
結論。おもしろかった。
もともと家を建てる本は好きなんですが、この著者の趣味の「イギリス風の古い家」っていうのは、実はあんまり好みでない。でも、自分の趣味をしっかり持っていて、夢の家を実現させるために奔走し、ハウスメーカーの営業や現場監督に自分の意見を伝えて、なんとかようやく満足のいく家を建てた、というエネルギーには脱帽です。
わたしも、もし将来家を建てることになったら、ここまでこだわって自分らしい家を建てたいな、と夢が広がった次第。
というわけで、引き続いてこの著者の他の本も読んでみるつもり。
「翡翠の城」
2002年10月31日■(読了)「翡翠の城」篠田真由美、講談社ノベルス
建築探偵シリーズ3。
4代前の創業者の愛憎が現代のホテル経営者一族に影を落とし……という話。
前巻よりも建築史に立ち戻って明治以降の近代化をおさらいできる内容がよかった。と思ったらしっかりその旨あとがきに書かれてました。著者はちゃんとわかってシリーズを書いているらしい。
あと、探偵とその助手の過去が、ちょーっぴりだけほのめかされて、読者に次も買わせようと思わせるお手並みはお見事。はまりそうです。(でも、著者のサイトによると、探偵の過去が出てくるときは、シリーズが終わるときらしい。うう、大いなるジレンマが……)
建築探偵シリーズ3。
4代前の創業者の愛憎が現代のホテル経営者一族に影を落とし……という話。
前巻よりも建築史に立ち戻って明治以降の近代化をおさらいできる内容がよかった。と思ったらしっかりその旨あとがきに書かれてました。著者はちゃんとわかってシリーズを書いているらしい。
あと、探偵とその助手の過去が、ちょーっぴりだけほのめかされて、読者に次も買わせようと思わせるお手並みはお見事。はまりそうです。(でも、著者のサイトによると、探偵の過去が出てくるときは、シリーズが終わるときらしい。うう、大いなるジレンマが……)
「いとこ同士」
2002年10月30日■(読了)「いとこ同士」今市子、ダリアコミックス、2002
著者いわく、7年以上前のおもに同人誌作品を集めたもの。
表題作とそのシリーズ3作は、学生時代に2歳年下のいとこに悪さをした主人公が、社会人になってそのいとこと再会、お互いに相手を思っていたことがわかってお付き合いを始めるが、会社の出向で職場はいっしょになるは、双方のご家族の手前もあるはで、気持ちはすれ違いがち……。という、あらすじだけ書けば今まで何万と書かれたありがちBLだけれど、そこは今市子。しっとりと情感を描き出す佳作。しかも、ふだんの今市子ならたとえBLレーベルでも、キスまでできれば御の字なのに(<それってどうよ……<自分)、この話ではちゃんとそこから先まで描かれている! 満足度の高い1冊でした。
(表題作以外の短編は、どれも冗談めかしたキスどまりでしたけどね/涙)
著者いわく、7年以上前のおもに同人誌作品を集めたもの。
表題作とそのシリーズ3作は、学生時代に2歳年下のいとこに悪さをした主人公が、社会人になってそのいとこと再会、お互いに相手を思っていたことがわかってお付き合いを始めるが、会社の出向で職場はいっしょになるは、双方のご家族の手前もあるはで、気持ちはすれ違いがち……。という、あらすじだけ書けば今まで何万と書かれたありがちBLだけれど、そこは今市子。しっとりと情感を描き出す佳作。しかも、ふだんの今市子ならたとえBLレーベルでも、キスまでできれば御の字なのに(<それってどうよ……<自分)、この話ではちゃんとそこから先まで描かれている! 満足度の高い1冊でした。
(表題作以外の短編は、どれも冗談めかしたキスどまりでしたけどね/涙)
コメントをみる |

「まぼろしの郊外」
2002年10月25日■(読了)「まぼろしの郊外」宮台真司、朝日文庫、2000
サブカルチャー評論で有名な社会学者の、現代の若者に関する文章を集めたもの。
実は初宮台でした。テレクラとかブルセラって、微妙に下の世代の社会現象だったので、現実としてどうだったのか、実感がわかないのですが、著者の、わかりやすい論理的な説明に、つい信じさせられてしまう(笑)。
先月読んだ影山任佐の本に書かれてた(そして具体的にイメージできなかった)若者の抱える「空虚な自己」がどんなものなのか、だんだんイメージできるような気がしてきた。
サブカルチャーを研究対象にしているから、どうも胡散臭いイメージを持っていたのですが、研究対象への迫り方などは、ちゃんと学問してるので、見直しました。
サブカルチャー評論で有名な社会学者の、現代の若者に関する文章を集めたもの。
実は初宮台でした。テレクラとかブルセラって、微妙に下の世代の社会現象だったので、現実としてどうだったのか、実感がわかないのですが、著者の、わかりやすい論理的な説明に、つい信じさせられてしまう(笑)。
先月読んだ影山任佐の本に書かれてた(そして具体的にイメージできなかった)若者の抱える「空虚な自己」がどんなものなのか、だんだんイメージできるような気がしてきた。
サブカルチャーを研究対象にしているから、どうも胡散臭いイメージを持っていたのですが、研究対象への迫り方などは、ちゃんと学問してるので、見直しました。
「一億三千万人のための小説教室」「アイルランドへ行きたい!」
2002年10月20日■(読了)「一億三千万人のための小説教室」高橋源一郎、岩波新書、2002
NHKの番組「ようこそ先輩」で高橋源一郎がやった、小説教室の内容をおおきく膨らませた、小説の書き方、というよりも小説論。
「小説は生き方だ」「ひとは、本当に知っていることしか小説に書けない」等、心の中でブックマーク、な言葉が散りばめられている。
いくつかの小説や文章が引用されているんですが、悔しかったのは昔読んだはずの「パパ・ユーア・クレイジー」がわからなかったこと。本棚から探し出してきてしまいました。
■(読了)「アイルランドへ行きたい!」トンボの本、新潮社
タイトルどおり(笑)。
今年は一度も海外旅行をしないで終わりそう。いやだー、旅行したいー!!という欲求が不満するままに衝動買い。写真が多いので、気に入ったところだけ拾い読み。
アイルランド旅行をしたのは、もう2年前の秋になるのか。とっても楽しかったのでまた行きたいです。>ね、おむすびウーマンさん。
NHKの番組「ようこそ先輩」で高橋源一郎がやった、小説教室の内容をおおきく膨らませた、小説の書き方、というよりも小説論。
「小説は生き方だ」「ひとは、本当に知っていることしか小説に書けない」等、心の中でブックマーク、な言葉が散りばめられている。
いくつかの小説や文章が引用されているんですが、悔しかったのは昔読んだはずの「パパ・ユーア・クレイジー」がわからなかったこと。本棚から探し出してきてしまいました。
■(読了)「アイルランドへ行きたい!」トンボの本、新潮社
タイトルどおり(笑)。
今年は一度も海外旅行をしないで終わりそう。いやだー、旅行したいー!!という欲求が不満するままに衝動買い。写真が多いので、気に入ったところだけ拾い読み。
アイルランド旅行をしたのは、もう2年前の秋になるのか。とっても楽しかったのでまた行きたいです。>ね、おむすびウーマンさん。
「未来の記憶」
2002年10月19日■(読了)「未来の記憶」国枝彩香、BBC(ビブロス)、2002
読み切り3本(うち2本はシリーズ)。
お馬鹿で木訥な攻×クールな女王様受がツボなわたしには大ヒットでした。>表題作
まあ、それがなくても国枝彩香(っていうか坂井●●江……)。絵はきれいだし話はうまいし。攻が死んだ両親の話をするくだりは、しみじみしちゃいました。
このマンガ家さんは、Young XXX(←伏せ字)で普通の恋愛ものを描いていたときからファンだったので、いきなりモーホーが出てきたときにはオドロきましたが、そうか、聖闘士★星矢でやおいにはまってしまったのか……(合掌)。
読み切り3本(うち2本はシリーズ)。
お馬鹿で木訥な攻×クールな女王様受がツボなわたしには大ヒットでした。>表題作
まあ、それがなくても国枝彩香(っていうか坂井●●江……)。絵はきれいだし話はうまいし。攻が死んだ両親の話をするくだりは、しみじみしちゃいました。
このマンガ家さんは、Young XXX(←伏せ字)で普通の恋愛ものを描いていたときからファンだったので、いきなりモーホーが出てきたときにはオドロきましたが、そうか、聖闘士★星矢でやおいにはまってしまったのか……(合掌)。
コメントをみる |

「17歳という病」
2002年10月18日■(読了)「17歳という病」春日武彦、文春新書、2002
些細なものごとがいきなり黄金に変わったり、毒の結晶へと変化しかねない不安定な季節は、おそらく青春といった特異な時期の他にはないだろう。自分が子供であった頃や若者であった頃を想起しつつ、その記憶から普遍的なものを引き出してみたいといった願いを抱いて、わたしは本書を著した。(カバー袖書きより)
この著者は、どうしてこんなに鮮やかに、思春期に自分が考えていたことを記憶しているんだろう、と、感心しながら読んだ。たしかに、自分を御しきれなかった思春期の頃、こんな風に感じていた、という共感でいっぱいになる。
が、それも5章立てのうち4章まで。ちょっと待ってよ。どうして5章でいきなり現代の若者批判になってしまうんだ。この袖書きを読んだら、そうした自分の思春期の経験から、とかくわからないと言われる現代の思春期の若者のなかにも普遍的なものを見いだそうとしているんじゃないかと思いませんか?!
しかも、そうした現代の若者を読み解いている他の論者をけちょんけちょんにけなしているんですが、それが、この前まで読んでいた三浦展が以前書いていたらしい「マイホームレス・チャイルド」(クラブハウス刊)という本と、先日感想を書いたばかりの影山任佐「自己を失った少年たち―自己確認型犯罪を読む」だよ(汗)。
たしかにこの二人の文章はわかりにくかったところもあるけど、でも、なんだか最後に裏切られた気分は否めないなあ。
とはいえ、4章までは「あのころ」を思い出すのに最適でした。
些細なものごとがいきなり黄金に変わったり、毒の結晶へと変化しかねない不安定な季節は、おそらく青春といった特異な時期の他にはないだろう。自分が子供であった頃や若者であった頃を想起しつつ、その記憶から普遍的なものを引き出してみたいといった願いを抱いて、わたしは本書を著した。(カバー袖書きより)
この著者は、どうしてこんなに鮮やかに、思春期に自分が考えていたことを記憶しているんだろう、と、感心しながら読んだ。たしかに、自分を御しきれなかった思春期の頃、こんな風に感じていた、という共感でいっぱいになる。
が、それも5章立てのうち4章まで。ちょっと待ってよ。どうして5章でいきなり現代の若者批判になってしまうんだ。この袖書きを読んだら、そうした自分の思春期の経験から、とかくわからないと言われる現代の思春期の若者のなかにも普遍的なものを見いだそうとしているんじゃないかと思いませんか?!
しかも、そうした現代の若者を読み解いている他の論者をけちょんけちょんにけなしているんですが、それが、この前まで読んでいた三浦展が以前書いていたらしい「マイホームレス・チャイルド」(クラブハウス刊)という本と、先日感想を書いたばかりの影山任佐「自己を失った少年たち―自己確認型犯罪を読む」だよ(汗)。
たしかにこの二人の文章はわかりにくかったところもあるけど、でも、なんだか最後に裏切られた気分は否めないなあ。
とはいえ、4章までは「あのころ」を思い出すのに最適でした。
「大人のための東京散歩案内」
2002年10月16日■(読了)「大人のための東京散歩案内」三浦展、新書y(洋泉社)、2002
著者が、東京の下町・山の手住宅街・若者の街をそれぞれ3ヶ所程度取り上げて、散歩で見つけた事物を紹介。
取り上げた街の中に、わたしが生まれた深川周辺や、前のカイシャの近くで飲み食いにはお気に入りの神楽坂や、いまの職場の近くの恵比寿などがあったので購入。
まあ、40代(多分)の男性が書いたものなので、散歩で引っかかる事物というと、「温泉」「三業地(いわゆる色街)」「暗渠」「同潤会住宅」等々。自分の趣味と引っかかるようで引っかからないような、でも自分が日ごろ見ている場所を、違う切り口から見るところは大いに参考になった。
でも、こういうオジサン(失礼)が、吉祥寺の雑貨屋やカフェを「かわいい」とか形容しているとなにか妙な違和感を醸します(苦笑)。
著者が、東京の下町・山の手住宅街・若者の街をそれぞれ3ヶ所程度取り上げて、散歩で見つけた事物を紹介。
取り上げた街の中に、わたしが生まれた深川周辺や、前のカイシャの近くで飲み食いにはお気に入りの神楽坂や、いまの職場の近くの恵比寿などがあったので購入。
まあ、40代(多分)の男性が書いたものなので、散歩で引っかかる事物というと、「温泉」「三業地(いわゆる色街)」「暗渠」「同潤会住宅」等々。自分の趣味と引っかかるようで引っかからないような、でも自分が日ごろ見ている場所を、違う切り口から見るところは大いに参考になった。
でも、こういうオジサン(失礼)が、吉祥寺の雑貨屋やカフェを「かわいい」とか形容しているとなにか妙な違和感を醸します(苦笑)。
「玄い女神」
2002年10月11日■(読了)「玄い女神」篠田真由美、講談社ノベルス
建築探偵シリーズの2。
著者自身もあとがきで書いているが、シリーズ2巻目にして探偵・桜井京介の過去に関係した人物が中心の事件。よって、桜井京介も和洋折衷様式の家から読み解くよりも、人間関係に注視(しかも前半は推理をしたがらない)しているので、1巻目の、黎明荘を舐めるように(笑)描写していたところにインテリア・建築好きの心が惹かれたわたしには、少々物足りなかった。
まあ、タイトル自体から見ても、「家」がメインじゃなかったようです。次巻は「翡翠の城」ということで、またすてきな近代建築のうんちくが聞けることを期待。
建築探偵シリーズの2。
著者自身もあとがきで書いているが、シリーズ2巻目にして探偵・桜井京介の過去に関係した人物が中心の事件。よって、桜井京介も和洋折衷様式の家から読み解くよりも、人間関係に注視(しかも前半は推理をしたがらない)しているので、1巻目の、黎明荘を舐めるように(笑)描写していたところにインテリア・建築好きの心が惹かれたわたしには、少々物足りなかった。
まあ、タイトル自体から見ても、「家」がメインじゃなかったようです。次巻は「翡翠の城」ということで、またすてきな近代建築のうんちくが聞けることを期待。