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2012年10月25日 映画鑑賞記録第3紀(09.02~) コメント (5)
『眺めのいい部屋』『ハワーズ・エンド』などで知られる巨匠ジェームズ・アイヴォリー監督が手掛けた文芸ドラマ。自殺した作家の伝記執筆のため遺族が暮らす南米ウルグアイを訪れた青年の存在が、彼らの間に波紋を投げ掛け、それぞれが人生の最終地点を問うさまを描く。出演は名優アンソニー・ホプキンス、『ユー・キャン・カウント・オン・ミー』のローラ・リニー、『アンチクライスト』のシャルロット・ゲンズブール、テレビドラマ「LOST」や『ラッシュアワー3』など国際的に活躍する真田広之ら実力派がそろう。
http://www.u-picc.com/saishu/
イギリス郊外の邸宅、フィレンツェのお屋敷ときて、穏やかな、豊かな自然に囲まれた(けれども閉塞した)世界は南米ウルグアイまで行かないといけなくなったのね。
とはいえ、うっそうと木々の生い茂るジャングルと、牧畜の営まれる草原の風景はうつくしい。
浮世離れした閉じた世界で、自殺した作家の不在が、残された家族の関係の中から浮かびあがる物語はとても想像力をかき立てる。
作家とその妻、愛人と娘、兄とその同性のパートナーという、一見いびつながらバランスが取れて穏やかだったろう暮らしが、作家が欠けたことでバランスを失い、けれども何とか維持していたところへ飛び込んでくる若い作家の研究者によって、再構築されて、出て行く者あり、入ってくるものあり、で新しいバランスを得る物語。
一番印象的だったのは、作家の死によってもっとも傷ついて頑なだった人物が、「何に傷ついたのか」を若い研究者に打ち明ける場面。
あまりにあっさりと描かれていたので。
ある意味あの部分が、作家の自殺と、伝記を書かれることを拒否する理由であって、この話のキモかと思うのだけれど、過剰な演出も何もなくあっさりと、他と同じ一場面であるというように描かれているのが、逆に新鮮だった。
それと並行して描かれる、研究者と作家の愛人との心の交流の方が演出に力が入っていたけれど。
というか、この映画中唯一のヌードが真田広之ってどうよ?
(いつものワタシ節になった/笑)
しかもなんかきれいに撮ってもらえてていいわね!
さらになんかすごく可愛らしく演技つけられてるですけど!!
監督には、真田広之がそういう風に見えているのね……。
(以前読んだインタビューによると、監督は、この役はぜひサナダにやってもらいたいと、
原作ではタイ人という設定だったのにあえて日本人にしたそうだ。)
それはさておき、さすがに乗馬姿が様になっていました真田広之。
そんな訳でホプキンスの若い恋人である真田広之を観に行ったのだけれど(←やっぱりね)
もっと驚いたのはシャルロット・ゲンズブール!!
先月行った美容院で、ELLEだったかの雑誌で読んだ短いインタビューで
たしか40歳くらいだったと記憶していたのだけれど
この映画では28歳の役をやっていて、それがゼンゼン違和感がないくらい可愛らしかった。
まあ、多少は「南米の強い日差しに当たって肌の老化が進んじゃったのね」という気はしたけれど
すごく可愛い……ああいうアラフォーになりたい……。
コメント
若く見えちゃうというのが理由として大きいのかも?
「21グラム」だったかな?主演のショーン・ペンはナオミ・ワッツと絡んでいるほうが自然でした。奥さん役はシャルロットだったんですけどね、彼女がショーン・ペンの横にいると本当ウソくさくて。
ところがずっと年齢下の俳優さんの相手役したら(「恋愛睡眠のすすめ」あたり?)、これが不自然じゃないかったです。年齢不詳ぶりは女性版キアヌって感じ。
実年齢でもそれなりに差があるのに、しかもあのシャルロットなんて、
なんでそんな無理のあるキャスティングを(笑)。
恋愛睡眠のすすめの相手は、ガエル・ガルシア・ベルナルですか?
ガエル自身も童顔だから、たしかに似合うかも。
ホントの20代女子と並べたらやっぱり老けて見えると思うんですが、
なんでしょうね……それほど童顔にも見えないけれど、表情や仕草かしら?
なんかムダ使いしてるなあ~って<21グラム
>恋愛睡眠のすすめの相手は、ガエル・ガルシア・ベルナルですか?
そうです!
シャルロットが相手役(といってもたしかガエルくんの片思いだったような?あれ?そこらへん記憶曖昧です)だと知って「マジで?」と観に行ったのに、まったく年の差に問題がなく…驚きました。
>それほど童顔にも見えないけれど、表情や仕草かしら?
そうだと思います、あと醸し出す雰囲気?
もともと90年代を代表する「二大フレンチロリータ」のひとりでしたが、
(ちなみにもうひとりはバネッサ・パラディ)
年を重ねても若いわーって思います。
米国の女優さんだったら、ウィノナ・ライダーあたり?
(ウィノナはちょうど彼女たちと同世代だし)
そしてジョニデの好みはブレないなーとしみじみ思うのでした。
真田広之なんですが。
「彼じゃないとダメ」という監督は、作品に「日本人」を本気で求めてるんだなと思います。たとえば渡辺謙だと外国映画に出るとどうしても「ケン・ワタナビー」になるんですけど、真田広之は「真田広之」のまんま。外国映画でも変わらない。ダニー・ボイルも「この役は真田じゃないと」と「サンシャイン2057」で配役してて、実際に観たら「ああ、真田広之だな」と私も思いました。他の監督作品…たとえば「ラストサムライ」あたりのコメンタリーを聞いていても、謙さんのほうが出番多いのに、真田広之をベタぼめ。謙さんが悪くて真田広之がいい…とまでは思わないけれど、スクリーンに真田広之が出てくるほうが私は好きです。
作品に「日本人」を本気で求めてるんだな
↓
作品に「日本人の美しさ」を本気で求めてるんだな
Wikiをみて「あーはいはい、ジョニデ好みね」と超納得した次第(笑)。
この映画での真田広之の役は、15歳でホプキンスに拾われて以来25年連れ添っているという役柄で、そうするとなんとなくタイ人のほうがしっくりくる気がしたのですが、
(偏見混じってると思います……)
これが日本人となるとまた異なる印象になるのが不思議。
この話では、真田広之は作家の遺産を相続する立場になく、だからこそ自分から主張せず、他の家族それぞれの話を聞き、緩衝材の役割を担っていて、そうすると日本人という設定は上手い翻案だと思うし、それには、欧米人に混じって違和感のない役者ではなく、美徳としての日本人を体現できる役者さんであるべきだったのか、と
秋林さんのコメント読んで思いましたです。