チャンスに恵まれない芸能エージェント、ビミー。彼のもとに転がりこんできた天才ボクシング・カンガルー、マチルダは、ひょんなことから世界チャンピオンをKOしてしまった!たちまち新聞社からマフィアまでを巻き込む大騒動が勃発!一匹のカンガルーに夢を賭ける男たち。その奇想天外な冒険とその意外な顛末を、痛快に、そして心優しく描くギャリコの傑作、ついに登場。
ポール・ギャリコ 東京創元社 2000年
http://www.amazon.co.jp/dp/4488194036


やっぱり画像が出ないのである…。

先日突然この本を読み返したくなって文庫本の山をひっくり返したのに見つからず、ふと「最近読んだ本」のコーナーを見たら書店のカバーがかかってた……。
最近読んだことを忘れていたのではなくて、人に貸していたのが最近帰ってきた、ってだけよ!

さらに、以前読んだときにここに感想を書いた気がしたのだけれど、出てこない。
ああ、オンライン・オフラインともになんて整理の悪い。

なので仕方がなくもう一度感想を書くと。
ギャリコの動物小説のいいところは、動物が擬人化されていないところ。あくまで本能に従って生きている動物に、周りの人間たちが様々なものを見、自己を投影し、一発当てようと画策する。
この話でも、マチルダはもともとサーカスで人間相手にボクシングをするカンガルーなのですが、たまたまミドル級世界チャンピオンをのしてしまい、それがきちんと試合の形式に則っていたために「マチルダが現世界チャンピオンだ!」などと言い出した人たちのせいでどんどん話が膨らんでいく。そしてあるとき、マチルダを中心に作り上げられていった仮想の世界が瓦解して現実がぺろんと現れる。
その鮮やかさが、何度読んでもすがすがしく心地いい。

エリートなマフィアのボス(ただし中年)好きにも特にお薦め。

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