▼(挫折)「横森式シンプル・シック」横森理香、文春文庫PLUS、2002
著者が、いかにして渋谷のおしゃれなマンションを自分好みに作り上げたかを綴る。

横森理香という人は知らなかったが、生活センスアップ流れで衝動買い。
はっきりいって、ひさびさに怒り心頭に達した。
5/29の「おしゃれ生活ルール」の感想にも書いたが、この手のハウツーものは、「ちょっと手を伸ばせば届くファンタジー」であって欲しい。しかるに、この本は自分の改装体験を赤裸々にものしているだけで、同感する部分もあるが、その体験に万人の参考になるような昇華がなされていないので、演繹することもできない。その点、「おしゃれ生活ルール」のほうは曲がりなりにもルール化されているので、受け入れやすかった。
しかも。べつにこの人のやり方はシンプル・シックじゃない。要らないものはさっさと捨てるか田舎の母親(物を捨てるのが苦手)に送りつけて、自分は気に入ったものをどんどん購入している。シンプル・シックというのは、自分の生活に必要不可欠な最低限、機能的な道具だけに絞り込んで、いつくしんで使うことじゃないのか? 堂々と「機能性よりもおしゃれかどうかで選びました」とか、「すごーく高かった●●のボトルがおしゃれだから再利用」とか書かれると、ものに対する慈しみや敬意が感じられなくて不愉快です。機能性を追及した工業デザインはおのずとシンプルになり、シンプルなデザインはおしゃれなんじゃ!
だいたい、シンプル・シックをうたっていながら、文章があまりに安っぽい。心に棚を作って(by「炎の転校生」)自分のことはその棚に上げて言いますが、「超●●」「ダサい」「〜ですからネ」「すげー」「(笑)」などが多用された文章では、とても本人をシンプル・シックな女性に思えない。(この本の文章を反面教師として、自分は今後できるだけ(笑)は使わないようにしようと心に決めました。)
それから、ひとつ気になったのは、何か所か「ガサばる」という言葉が使われているのですが、これって「かさばる」のことでしょうか。もしかして、どこかの方言? 著者は小説も書いているそうですが、こんな人が書いた小説は読みたいとは思わない。というか、天下の文春の編集者は何をしているんだ?!
Amazon.co.jpには、この本に二つのレビューがついてますが、そのひとつ「底の浅いエッセイ」というタイトルのほうにとても共感しました。あー、もう、金返せ!

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